昨今、日本の企業や社会でもダイバーシティという言葉をよく聞くようになりましたが、サッカー界、特に多国籍の選手で構成されるイングランド プレミアリーグでは以前から、この言葉が使われてきました。
留学や転勤、移住、移民などが増えた今、イングランドにおける海外サッカー選手は、トップリーグだけでなく、ユースやアカデミー、さらに小学生、幼稚園年代にも広がりを見せています。
日本で生活しているとなかなかイメージできない数の国や人種が共存しています。
異文化や他人種と共存すると、どうしても出てきてしまうのが「差別」です。
イングランドサッカー協会でも、こうした他国の選手を受け入れ、差別のない世界(サッカー界)にするためのガイドラインを作成し、より多くの方に知ってもらうために無料のオンライン講座を提供しています。
今回はそのFAオンラインモジュールの『The FA Equality and Diversity』を受講しましたので、概要や受講方法についてまとめます。
Contents
The FA Equality and Diversity
コース概要
『The FA Equality and Diversity』は、「FA Level 1 in Coaching Football」「Safeguarding」「FA Talent ID」「FA Coaching Disabled Footballers」などのほとんどのコースに当てはまる内容となっているので、今後、留学して各FAライセンスの取得を考えている人は受けてみると良いです。
受講制限はなく、FAの会員であれば誰でも受講する事が可能です。
所要時間は45分ですが、英語が得意ではない方は、1時間~2時間かかると思います。
コース内容
タイトルにある、「Equality(平等)」と「Diversity(多様性)」の他にもう一つのキーワードとして「Inclusion」が頻発します。「Inclusion」は、(社会的な)一体性や(多様性を)受け入れる事をここでは指しています。
これら3つのキーワードを中心に「Discrimination(差別)」が起きる原因やそれを無くすための方法を学んでいきます。
※多様性とは、人種や民族だけを意味するものではなく、男女や障がい者やLGBT、健常者の中でも体格差など、あらゆる状況を意味します。
差別は、国や人種の違いだけでなく、体格差や異性に対しても起こります。
チームメイトからだけでなく、コーチやまわりで観ている観客から受ける事もあります。
さらに選手だけでなく、審判や指導者や観客同士にも起こり得ます。
また、今の時代は、直接的な差別以外にソーシャルメディアを通じた差別も存在します。
このようにどこにでも、いつでも起こり得る差別を、その発生する状況を予め理解し、どのように対処していくのが最適なのか、そして差別を根絶するために必要な行動を、様々なシーンを元に動画やイラスト仕立てで解説していきます。
Kick It Out(キック・イット・アウト)
このコースの中でも紹介されている、重要な団体(サービス)があるので紹介します。
『Kick It Out(キック・イット・アウト)』
イングランドサッカーの反差別団体で、人種差別などのあらゆる差別を撲滅するために1993年に設立されました。
Kick It Outは、イングランドサッカー協会やプレミアリーグなどの国内リーグだけでなく、サウサンプトン ソレント大学などの教育機関とも協力して、差別撲滅に向けた活動をオンライン、オフラインを通じて積極的に行っています。
サッカーや教育の場において、差別を受けたもしくは見つけた、聞いた場合は、Kick It Outのサイトもしくはアプリを使ってすぐに報告する事ができます。
少しでも差別を無くすためには、被害者だけでなく、目撃者が報告する事がとても大事です。
報告を受けたら各地域のサッカー協会やクラブまたは報告者に連絡を取り、調査に入ります。
2018-19シーズンの報告数は、
プロリーグ:313件
グラスルーツ:109件
ソーシャルメディアからの差別:159件
にも及びました。
これでもまだ報告されていないケースがたくさんあります。
この世から差別がなくなるよう、我々も差別に関する知識を持ち、撲滅のために行動する必要があります。
コース受講方法
まずは、FA(イングランドサッカー協会)の会員になる必要があります。
会員ナンバーでログイン後、コチラのサイトに入ります。
説明分をしっかりと読みながら下にスクロールしていき、一番下のオンラインモジュールをクリックすると別ウィンドウが立ち上がります。
時間がかかっても、一つずつ理解して進んでいきましょう。
コースを完了すると「CERTIFICATE(終了書)」をダウンロードできるようになります。
まとめ
近年、欧州の各国リーグでも差別的発言により試合が中断したり、観客に対して入場規制がかかるなどの問題が多発しています。
このようなトップリーグや代表レベルの差別問題は、テレビなどによって大々的に報じられますが、より若い世代やグラスルーツレベルにおいてはなかなかそうはいきません。人々の目が行き届かないところで起きてしまう事が多々あります。
ロンドンの人口(898万人)は、2015年にニューヨークを抜き、現在は東京の人口(927万人)にまで追いつく勢いとなっています。イギリスの人口(6665万人)が日本の人口(1億2650万人)の約50%であることを考えると相当な数がロンドンに集まっていることになります。
さらに、ロンドンの以下の街では半分以上の住民がイギリス以外の国の出身者となっています。
ブレント:54%
ケンジントン:51%
チェルシー:51%
ウェストミンスター:50%
皆さんが知っているチェルシーの街でも、家から1歩出れば、2人に1人が外国人という状況です。イギリスは日本と同じ島国ですが、人種差別は日本とは比べ物になりません。
少しでも多くの被害者を救い、差別のない国をつくりあげていくために、一人一人が多様性を身に付けることが急務とされています。
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