前回の『Introduction to Futsal』に続いて、今回は『National Futsal Course』の紹介です。
Introduction to Futsalは初級者向けのコースですが、National Futsal Courseは中級者向けのコースになっています。
ここからは有料のコースとなり、対面の講義とワークショップがコースに組み込まれているので初級に比べると英語力も求められます。
Contents
National Futsal Course
受講方法
【受講資格】
16歳以上
『Introduction to Coaching Football』と『Introduction to Futsal』を受講完了済み
【受講方法】
コチラからFA(イングランドサッカー協会)のFAN IDでログイン。
【コース期間】
約4週間(対面の講習会が2回 / オンラインセッションが2回)
『Introduction to Coaching Football』と『Introduction to Futsal』は以下から確認ください。
受講内容
実際にライセンスを取得した弊社の留学生が講習内容をまとめてくれました。
Day1
①フットサル独自のルール
4秒ルール、キックイン、ゴールクリアランス、交代の仕方、フライゴールーキーパー(日本ではパワープレー)の仕組みなど非常にベーシックなものの確認
②攻守のスキル(システム含む)
アタックでは基本的な1-3-1システムを中心に紹介、高さ・深さ・広さを確保しながら、常に前進を狙うこと、コートの中央をコントロールすることの大切さ。1-4-0システムではボールを保持しながら相手を引き出して裏を狙うことが強調された。動き方や連動の詳細な説明はなく、イントロダクションといった感じ。
③攻守のコアスキル
Attacking: Passing, Receiving, Moving with the ball, Turning, Finishing
ボールを受ける前のフェイクの動きの重要性が強調された。またドリブル時の方向転換を含むターンの重要性。
Defending: Interception, Pressing, Challenging, Marking, Covering/recovering
インターセプトやマーキングについては特にピヴォのマークをするフィクソの選手は前に立ってパスコースを塞いでしまうことの重要性が説明された。後ろのスペースはGKがカバーする。GKを含めてどう守るかが大切。
プレスをかける際のトリガーをはっきりする、コートの中央を使われないようにコンパクトに守ること。
④カウンターアタックの重要性
フットサルでは多くのカウンターが発生する。必ずシュートで終わること、セカンドポストへ走ること、GKをカウントすれば同数と考えることができる。フィトネスの向上のためにも切り替えが多く入るカウンターの練習は有効。
⑤Key capability 6つ(個人戦術)
→Scanning, Positioning, Technique, Timing, Deception, Movement
ベーシックな個人戦術。基本的にはフットボールと同様だが、コートが狭いため、これらの能力がより必要とされる。確かにフットサル選手はフットボールだけをやっている選手よりこれらの能力が高いようにも感じる。
Day2
①Attacking core moves(two-player connections)
→Diagonal pass-straight run, Straight pass-diagonal run, Wall pass, Lending pass, Overlap, Screen, Block, Pass and follow
2人組の基本的な動き方8種類。よくまとめられている。確かにこれらが基本的な崩し方。
Straight pass-diagonal runはスペースにパスを出して、斜めに走って受ける形(例えばコート中央右サイドライン側で中からパスを受けて、右前のコーナーへ向かってパス(浮き玉で相手の足を越えるとより良いという説明も)を先に出して、中央の選手が斜めにボールを追いかけてスペースで受ける動き)であるが、なかなか実技練習でも苦労する人が多かったのが興味深かった。スモールコートでスペースにボールを出すこと、斜めにゴールから遠ざかる形でのランニングに違和感を感じていたらしい。
ScreenやBlockに関してもフットサルでは必須であるが、フットボールではコーナーキックなどのセットプレーでしか見られず、ぜひ取り入れてゴール前などの狭い局面で活かしていきたいとの声が多かった。
②Defending core moves
チャレンジアンドカバーを中心に2人組の関係性での守備を確認。狭いからこそ、一歩二歩や身体の向きに注意を払う必要性が強調された。
逆サイドに一度で展開されないことや、間を通されて前進されるパスを出されないように。
③Set pieces
フットサルにおいて、1/3程度の練習時間を使う価値があるもの。得点機会、失点機会としても、ポゼッションの始まりとしても。
いくつかの代表的なコーナーキックのサインプレーを確認した。ブロックやスクリーンの大切さ、DFは初期ポジションの共通意識。
④The fly goalkeeper
フットサル独自のもの。ルールの確認から細かく時間をかけて説明していた印象。
負けている時はもちろん、勝っている時にボールを保持して時間を進めるため、流れやリズムを切るために試合の途中でも有効とのこと。
GKの能力によっては選手交代なしでやることも多いが、難しいのが現状。
1-2-2の形のハウス型、1-3-1のダイアモンド型2種類の攻め方が紹介された。
講習会を受けた感想
講義と実技を交互に繰り返す形で9.00-17.00を2日間実施。対面の翌週に行うオンラインのアセスメントでは各日のテーマに沿って試合動画(EUROやCL)を活用しての選択肢式の問題で理解度を確認。
また、指導の前提として、
①常に選手のニーズを考えること
②選手に適切なゲームを設定すること
③フットサルは難しすぎる訳ではないが、簡単でもないことを確実にする
④実際の経験から学ぶこと
が述べられていた。
受講者はグラスルーツのフットボール指導者が多く、フットサルをジュニア年代から取り入れていくことによるメリットをみんな感じていた。
自分のようなフットサル選手やフットサルの指導に定期的に関わっている人は少なかった印象。
イングランドは欧州でもフットサル後進国ではあるが、多くのグラスルーツ指導者が興味をもっているのは今後へ良い影響があると感じた。
講習の内容としてはベーシックなものが多かったが、改めて基礎をしっかりと整理してまとめることの大切さを感じた。
まずは原則、個人戦術を抑えることが重要。
2日目で2人組の関係は紹介されたが、3人、4人組の関係性はもう一つ上のレベルになる様子。そのため、実技においてもボール保持時のローテーションの動き方や、保持しながらどうやって前進するのかは個人の感覚であった。UEFA Bではそのようなチーム戦術を詰めていくのだろう。
日本ではスペインやポルトガル、ブラジルの文化を取り入れているからか1-3-1システムのワイドの選手はアラ(ALA)と呼ばれるが、イングランドではWingerであったのは少し興味深かった。
比較的入門のこのレベルであることも関係していると思うが、役割についての説明でも、上下の運動量やドリブルで仕掛けることなど、フットボールのウインガーの役割と同様な説明のされ方であった。保持時のローテーションやポジションチェンジについてはあまり言及されず。
上のレベルの講習会ではどのように扱われるのかが気になった。
日本フットサルとの違いについて、一つパススピードについて質問をしたところ、もちろん早いパスが有効となる時は多いが、それは出す側、受ける側の基礎技術が高くないと難しい。日本と比べるとイングランドのフットサル選手たちはまだ基本技術が低く、トップリーグでもパススピードが上がらないのではないかといった回答だった。
日本ではフットボールにおいても幼少期から基礎技術を練習するのが当たり前になっており、その成果だと思うが、改めて日本とイングランドの指導のベースの違いを感じた。
Introduction to Coaching Football 完了証
Next Step
次のレベル『UEFA Futsal B Licence』を受講するには今回の『National Futsal Course』と『UEFA C Licence』を完了している必要があります。
最後に
National Futsal Courseからはオンラインで完結するものではなく、対面式となります。ここがこれまでとは大きく違う部分になります。今回ライセンスを取得した留学生も渡英したばかりの時はほとんど英語は聞き取れず話せずでしたが、しっかりと勉強をして講習会でも質問をしながらコミュニケーションを取れるようになりました。
この努力をした者だけが海外のライセンスを取得し、自分の指導の幅をさらに広げられます。
言語を含め、育ってきた環境や考え方が全く違う指導者たちと意見交換することで、今までにはない新たな気付きを得る貴重な経験となります。
さらにその先のライセンス『UEFA Futsal B Licence』の取得も目指して欲しいと思います。
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